ハリルホジッチ監督の解任について

W杯本大会まで約2ヶ月というタイミングでハリルホジッチ監督が解任された。

 

先月のベルギー遠征時のマリ戦は観ていなかったが、ウクライナ戦を観た限りでは悪くない印象を持ったので少々驚きだった。

 

もちろん、故障者がいたとは言え、この時期に至ってもある程度の固定メンバーすら見いだせていない感があるのはどうかと思う。

守備にしても、攻撃にしても、どの様に戦っていくのかが見えにくい点もあるように思えた。

ただ、本戦に出場できず、若手主体とは言え、対戦相手だったウクライナFIFAランキングは日本よりも上だったわけだし、国内でもCLでも良い成績を出している国内の強豪、シャフタール・ドネツクディナモ・キエフの選手を中心に選出されていたことを考えると連携面でも寄せ集めという状態ではなく、この時期の対戦相手としては悪いものではなかったと思う。

 

幾つかの記事などでも触れられているが、監督を代えるのであればこの時期ではタイミングが悪すぎるように思う。

監督が西野さんに代わったことで、W杯本大会で少なくとも予選敗退したとしても、少なくとも1勝でもできれば別だが、仮に全敗した場合には何が悪かったのかの検証すらできなくなるだろう。

この時期に監督を代えるのであれば、いっその事ハリルのまま挑んで、何が悪かったのか、徹底的に検証材料とすべきだったように思う。

 

初参戦のフランスはともかくとして、地元開催だった日韓を除けば期待感を持って本大会に臨んだドイツ、そしてブラジルでは結果的に芳しくない結果に終わった。

一方で、本大会前は敗けが続き、本大会では思い切って守備的な布陣で挑んだ南アフリカ大会では予選を突破し、決勝トーナメントでもPK戦敗退という結果を導いた。

 

今回の監督解任については、選手たちの反乱などという声もあるが、幾つかの記事で触れられているように、スポンサーの意向も大きく働いたのではないかと思う。

岡崎や本田といった知名度のあるメンバーを外した一方で、新たに選出されたメンバーが活躍しているようには見えず、結果も伴わないようでは興行的な人気も出ない。

自分の周りを見渡してみても、W杯への関心は低いように感じるし、おそらくその空気感は間違っていないのだろう。

 

ハリルホジッチ監督を解任したことで、特に全敗となった場合の検証は難しくなったように感じるが、一方で日本サッカー協会は状況はどうあれ「切る時は切る」というメッセージも発せられたし、同時に、勝利だけでなく、興行的な成功も求められるというメッセージも世界に届いたことになると思う。

これまで、高級に加えて負けてもサポーターは暖かく迎えてくれる稀有な国、という批判記事もあったが、今回の件で少なくとも次の監督を引き受ける人物はそうした点も考慮して緊張感も生まれるのではないかと思う。

 

この一件が後々どんな影響を与える事になったのか、今後注意深く見守っていきたいと思う。