『「10年後の自分」を考える』ためにすること
前回記事でも紹介した『先が見えない時代の「10年後の自分」を考える技術』。
この本で応用される「シナリオ・プランニング」という考え方は、元々戦争において軍事戦略を立てる際に、敵の動きを何パターンか想定し、それら一つ一つに対応する作戦を考えて言ったのが始まりだとのことである。
1970年代には石油会社のシェルがこの考え方を応用し、「オイル・ショック」を乗り切ったことで脚光を浴びたという。
この本ではそんな「シナリオ・プランニング」の考え方を個人の生き方に応用させた内容になっているが、あくまで新書ベースで書かれているため、多くの例えを交えて分かりやすくはなっているが、本を読むだけでは実際の手順、スキルは身につきそうにも無いとも感じたため、自分なりにその手順をまとめてみた。
各手順の裏にはさらに必要とされる考え方や技術があるが、それはまた別の機会に掲載することにする。
シナリオの作り方
①自分の現状と希望をベースとする。
②まず「確実にやってくる未来」を考えてみる。
「確実にやってくる未来」の例、
・年齢
・(確実と思われる)社会環境変化
③次に自分に影響を及ぼす「不確実性」の要素を図にまとめて考える。
・ フレームワークを活用する
フレームワークの例
→マクロの「変化ドライバー」がミクロに直接的・間接的に影響する
④「不確実」×「インパクト大」の未来について考える
③で図に挙げた「変化ドライバー」の中から、何が自分の未来にとって「最もインパクトが大きく、最も不確実性が高い」「変化ドライバー」なのかを探しだす。
→10年後の自分にとって1番インパクトが大きい不確実性を見つける。ここを優先的に考えることが未来を考える際には1番重要。
例、日本企業で働く自分の就業環境
⑤「不確実性」を組み合わせて具体的なシナリオを作っていく
例、2つの不確実性を縦軸と横軸にとって2×2の4つのシナリオを作る。
・不確実性が同時に起こることまでは普通面倒くさくてなかなか考えないが、 同時に起こると、思ってもみなかった状況が目の前に現れる。
→最大のインパクトになって人生に大きな影響を与える
⑥シナリオを書いたら名前を付ける
例、仕事×家庭環境の4つのシナリオ
・相当準備しておかないととても対応できない「今の延長線上には考えられない未来」が現れる。
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どのシナリオになろうとも、10年後のために今、もしくは今から取り組んでおかねばならない「行動」や「意識」が見えてくる。
→「意識」は情報の取り込み方に影響を与える。
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結果として左下の象限(1番影響が小さい)になれば何も問題はない。 ↕
シナリオを使って「強制的に」未来のことを考えていくことで、「普段の自分の発想、 思考からは出てこない未来」について客観的に考えられるようになる。
⑦シナリオが具体的にどういう物語になるか「過去形」で綴ってみる。
この際、5W2H「(who、だれが)、(when、いつ)、(where、どこで)、(what、なにを)、(why、なぜ)、(how、どのように)、(how much、いくらで)」を明確にする。
・「変化ドライバー」の列挙にせず、必ず「ストーリー」にまでする。
→論理的に成り立たないものは実は繋がらない。「ストーリー」という強制発想法を利用して、「論理的なつながり度」をチェックする。
→どのシナリオも「ロジックが通っていて有り得そう」であればそれぞれのシナリオの意味することを考え、何を準備しておくべきかを考える。
→「未来物語(ストーリー)」を「今」に引き戻して、「今日何をすべきか?」の現実物語に翻訳する。
→行動に移す!
・行動を伴わない「思考」に価値はない
→行動によってしか「思考の」成果を手に入れることはできない。
「思考」はあくまでも「手段」。
「目的」は企業ならば「持続的な成長」と「価値創出」。
個人ならば「より良い人生(後悔しない人生)を送る」こと。
・目的地へはいつも最短ルートで辿り着けるとは限らない。
⑧行動しつつ、修正する ⑨自分の立ち位置を決める。
最悪シナリオをリアルに想定して、自分のこれからの行動計画を具体的に決める。
「未来の幅」を考える。 それぞれのシナリオ通りの未来が訪れたら一体どうなるかを具体的に考えていくと、どの未来が訪れようと「共通してすべきこと」が見えてくる
→今日から始められる「今、すべきこと」
「いつかやる」は「いつまでもやらない」と同じ。
「来てほしい未来」がどれかを見極め、その未来に辿り着くために「今、自分でできること」を考えることが不可欠。
⑩アーリー・ウォーニング・サイン(Early Warning Sign、予兆)を見逃さない
特定のシナリオに向かうことを示すシグナル
→行動変化の判断軸とする 「失業率」や「消費支出」などの遅行情報(既に世の中で起こったことを確認するためのもの)ではなく、「先行情報」を読む(「先行情報」と「遅行情報」を区別する)。
☆不確実な情報化での意思決定の考え方は、「選択肢が広がる方」を選ぶのが鉄則
⑪計画は「修正」を前提に立てる
例、
・ブレイクダウン法
・アローダイアグラム法
→漠然としたやるべきことを具体的なレベルにまで「要素分解」する
⑫「やらないこと」を決める
「戦略とはやらないことを決める(優先順位をつける)こと」